ところで、燃やす薪は充分に足りていらっしゃいますでしょうか。
「薪は自分で作ればタダですよ」
「建築端材をタダで差し上げます」
もしかすると、薪ストーブ屋さんや工務店さんからこのような言葉をお聞きになっていらっしゃるかもしれません。
もちろん薪を自分で作ればタダですし、工務店から建築端材をもらえば薪代は要りません。
しかし、薪を自分で作るにしても、木をどこから確保したら良いのか?
そもそも、せっかくの休日に、子供さんと遊ぶ時間を削ってまで薪作りをするライフスタイルは賢明なのか?
また、建築端材をタダで貰えば良いとはいえ、スギ(杉)やヒノキ(檜)の端材では火持ちがしないのであっという間に無くなってしまいます。
更に、河川敷の伐採木を無料で配布する場合があるのですが、ヤナギ(柳)など火持ちのしない樹種のため、1シーズン分を確保することは事実上不可能です。(タダですのでどんどんもらって下さい)
他方で、薪ストーブ屋さんも工務店さんも、薪ストーブの販売には熱心ですが、薪そのものの取扱は熱心ではありません。森林組合等も薪販売は片手間と考えているのか、熱心ではありません。
このように、薪ストーブ自体は素晴らしいのだけれども、実際に使い続けようとすると薪が手に入らないという不便さを目の当たりにして、薪ストーブユーザーであり里山に住む者として何かできないか。
この気持ちから薪販売の専門店を始めました。
昔から薪ストーブを使っている方はもしかすると、
『薪は自分で作るもんで、買うもんではないだろう』
と思う人もいるかもしれません。事実、私自身がそうでした。
自家消費用の薪だけを作っていた頃、知人から
『その薪売ってくれませんか』
と言われたときはえっ!? と思ったものです。薪を商売にするなど思いもしなかった。
薪は自分で作るものだろう、と。
しかし、ある時から考えが変わりました。
それは、江戸時代についての本を読んだときです。
江戸時代は高循環型社会として有名ですが、それは即ち、あらゆるモノが売買の対象だったということです。
なんと、人間の排泄物までお金でやりとりされていた。江戸の町の排泄物を周辺農民が買い取って畑にまき、農作物を作った。そうして作ったコメや野菜を江戸の町で売った訳です。
(ついでに言えば、大名の排泄物は金肥(きんぴ)と言って栄養分が高い肥料として高値で取引されたといいます。)
これからの私たちが進むべき社会もきっと、高循環型社会だろう。
そのためには、あらゆるものの価値をキチンと認めて、経済活動の中に取り込んでいく。
それこそが、薪ストーブ愛好家お一人お一人の人生を豊かにし、社会全体も豊かにできる道だろうと。そう思った次第です。
これが、薪ストーブ用の薪の専門店、『薪屋ドットコム』の誕生の経緯です。